運転代行業を立ち上げるにあたって、当然気になるのが収入です。月商はもちろん年収も気になりますね。
- 『売上はいくらぐらいなのか?』
- 『利益として残る金額はどれだけなのか?』
- 『どういう構造のビジネスなのか?』
ここでは、全国平均で月商70万円ともいわれる運転代行業のビジネスモデルを解説し、売上を伸ばすための方法を説明していきます。
安定して稼ぐことを期待できる運転代行業の売上推移
代行運転の営業は、365日一年を通して売上を立てることができます。つまり、運転代行サービスの特徴のひとつは「季節変動が少ない」ことです。
もちろん、忘年会シーズンとなる12月が繁忙期であることに間違いはありません。
しかし、12月以外の月商が落ち込むかというと、そんなことはありません。運転代行サービスへの需要は年間を通して常に一定数あるため、他業種と比較しても売上は安定しているといえるでしょう。
季節で捉えても、1月は新年会シーズン、4月は花見や歓迎会・送迎会、夏は海水浴、そして秋にはバーベキューがあります。そして、12月に忘年会による書き入れ時を迎え、一年のピークとなります。
どの行事も、お酒を飲むことや車での大人数の移動が絡んでくるイベントです。まさに運転代行のニーズがあるイベントが、年がら年中どこかで行われているといえるでしょう。
そして、運転代行業の強みといえるのが「不況に強い」こと。必要に迫られて依頼を受けるサービスであるため、不景気だからといって客足がぱったりと止まることはありません。
平日の夜間と休日に売上がピークとなる運転代行業は、サラリーマンの副業としても人気があります。
実際に、本業の会社勤めを夕方前に終えたサラリーマンの人が、20時から運転代行業者でアルバイトをしているケースもあります。
運転代行業を副業から始めて、稼ぎの上昇に伴い本業として独立開業するという人もいます。
副業から本業への道をイメージしやすいことは、開業までの敷居が低い運転代行業の魅力のひとつでしょう。
『独立開業したいけど、安定した収入も欲しい』と思う人には、ぴったり当てはまるビジネスモデルといえるのではないでしょうか。
運転代行業の仕事の流れと収益構造
結婚式など大きなイベントの予約が昼間にない限り、運転代行は基本的に夜のお酒を呑んだ後のお客様が対象となります。代表的なシチュエーションとしては「車で居酒屋まで行って、酒を飲んだ。このままだと帰宅できないので運転代行業者を呼ぼう」といった経緯です。
したがって、多くの運転代行業者が18時もしくは19時を営業開始時間としています。
営業開始時間を迎えたら、随伴車輌にドライバー2名が乗車し、事務所から出発します。ここから終業時間まで随伴車輌に乗りっぱなしです。長時間運転していても疲れない車種を随伴車輌として購入しましょう。
また、事務所に固定電話がある場合は、ドライバーが所持した携帯電話へ転送する操作を忘れないようにしましょう。
リスティング広告を上手に運用して、営業開始時間前に1本目の代行案件の予約を取れていると売上が安定してきますね。WEB集客の解説も参照してください。
お客様から依頼の電話が来るまで、繁華街などの依頼が多いエリアで待機します。東京であれば新宿や六本木、大阪であれば難波や梅田が随伴車輌の待機場所といえるでしょう。
もちろん、他の運転代行業者と違った営業戦略を取り、意図的に少し外した場所で待機することもいいと思います。「対応エリア外だ」と言って他社が断る案件を拾うことで、売上・利益を確保することもできますね。
お客様から依頼の電話が来ると、次のような業務の流れで運転代行サービスを行います。
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お客様から依頼の電話が入る
出発地・目的地をはじめ、お名前や連絡先を聞いておきます。また、運転を代行する車種を聞いておくと良いですね。
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随伴車輌で現場へ向かう
ドライバー2名で随伴車輌にて、お客様の指定場所へ向かいます。
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お客様の車を目的地まで安全に運転する
二種免許保有のドライバーがお客様の車(客車)を運転し、もう1人のドライバーが随伴車輌で追いかけます。この時、一種免許のドライバーが客車を運転することはできません。また、お客様が随伴車輌に乗ることは白タク行為となり違法です。
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目的地到着後に精算を行う
安全運転で目的地に到着しました。お客様から料金をいただきます。決済手段を複数用意しておいた方が、お客様にとって利便性が高くなります。
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次の依頼まで待機
次の依頼の電話が入るまで、随伴車輌にて待機します。再び繁華街に戻ることもありますし、目的地近くで待機することもあります。
このような流れを営業終了まで繰り返します。
運転代行業の一日の流れが大まかにつかめましたでしょうか?
特に待機場所については要注意です。待機場所によって、依頼された指定場所までの移動時間が変わってきます。
移動時間がかかり過ぎる場合はせっかくの依頼の電話が受注につながらず、結果的に顧客が他の運転代行業者へと流れることになってしまいます。
赤字にならない利益体質の会社にするためには、無駄のない移動・待機となるように電話受付を行う必要がありますね。
いったん営業所を出てしまうと、随伴車輌が営業の土台となります。
随伴車輌には「ETCカード」と「法人ガソリンカード」を備えておきましょう。ETCカードによって顧客満足度がアップし、法人ガソリンカードによってコスト削減を実現できます。
運転代行業は『運転免許があればできる仕事』と言われますが、売上と利益という形にしていくためには効率よく運営していく必要がありますね。
競合他社に勝つための差別化戦略
運転代行業は小資本で起業できることもあり人気のビジネスモデルです。年々、運転代行業者は増えています。
その中で競合他社との競争に勝ち、売上を上げていくためには、料金・サービス面で差別化を図る必要があります。
料金面での差別化
多くの運転代行業者で、次のような料金体系が設定されています。
- 初乗り3km未満2,000円~2,500円
- 以降1kmごとに300円程度加算
開業エリアの交通事情や他社の動向を考慮に入れて、まずはベースとなる料金体系を作成しましょう。
そこから、自社の特徴や意図を料金体系に落とし込んでいきます。
例えば、長距離の顧客を積極的に取るのであれば、はじめは1kmごとの追加料金を高くしておき、長距離利用で割安感を演出することもいいでしょう。
逆に、3km未満を地域最安値に設定しておき、短距離の顧客で回していくという狙いもアリだと思います。
その他、下記のように各種割引サービスを設けることも検討すると良いでしょう。
- 時間帯割引
- 女性割引
- 高齢者割引
リピーター獲得のために、回数券なども積極的に取り入れたいですね。
サービス面での差別化
随伴車輌を上手く活用したサービスアイデアをご紹介します。
それはクーラーボックスの設置です。
眠眠打破などの眠気覚ましに効果のあるドリンクや冷えたミネラルウォーター。また、冷たいおしぼりなどの用意は、顧客満足度アップにつながるはずです。
また、夜の酔客を対象としたサービスのイメージがある運転代行業ですが、利益を得るためには深夜帯以外での顧客獲得も大切となります。
ゴルフ場や結婚式での運転代行は隠れたニーズといえるでしょう。昼の仕事依頼をどれだけ獲得できるかが、運転代行業として売上を増やすためのポイントとなります。
世の中にある他の客商売と同様に、リピート率を上げるための戦略を考えていくことも大切です。顧客が運転代行を依頼する状況を考えて、他社に負けないサービスを展開していき、地域No.1の運転代行業者を目指しましょう。
運転代行の業務のために用意しておきたいもの
運転代行サービスの一日の流れを把握すると、仕事に必要な道具も見えてきたのではないでしょうか。
ここでは、用意すべき道具として2つのものを挙げておきます。
- 格安スマートフォン
- クレジットカード決済サービス
格安スマートフォン
随伴車輌ドライバーは、客車の後ろをついていく運転業務だけでなく、お客様からの依頼の電話を受け付ける係でもあります。
その際に使用する業務用携帯電話として、格安スマホをおすすめします。いわゆるガラケーでもいいのですが、GPSを使用したアプリなどが豊富なスマートフォンの方がドライバー業務には適しているといえるでしょう。
また、スマホはカード決済リーダーとしても機能します。
運転代行業には必須のアイテムといえますね。随伴車輌の台数分の格安スマホを用意しておきましょう。
運転代行業におすすめの格安SIMは「楽天モバイル」と「mineo」です。
クレジットカード決済サービス
運転代行サービス終了後、お客様から料金をお支払いいただきます。
多くの運転代行業者では、現金とクレジットカードの2つの決済手段を揃えています。
クレジットカードでの支払いを希望するお客様も多いですから、売上の機会損失を防ぐためにもクレジットカード決済サービスは必須といえるでしょう。
カード決済の導入は、準備しておく釣り銭を少なくすることと、支払い時にお客様をお待たせしないことにもつながります。
ポケットサイズのICカードリーダーをスマホに接続することでカード決済が行える「Square(スクエア)」が特におすすめです。
運転代行のアルバイトをして業務を学ぶ
運転代行についてのビジネスモデルと仕事の流れを解説しました。
ただ、文字を読むよりも実際に業務を体験した方が、ビジネスモデルのイメージが湧くと思います。
全国には多くの運転代行業者があり、日々営業活動を行っています。したがって、求人媒体を覗けば、ドライバーを募集している会社が見つかります。
アルバイトEXやLINEバイトなどのアルバイト求人サイトで、運転代行ドライバーの求人情報を検索してみてください。
通える勤務地で求人があれば、ぜひ応募してみましょう。
就業することにより、運転代行という仕事への理解が深まると思います。
そして、運転代行業が利益率の高い儲かる仕事であることも体感できるでしょう。