飲酒運転に対する取り締まりと罰則は年々厳しくなっています。
それに伴い、自動車運転代行業に対する社会における必要性と需要は増してきています。同時に、自動車運転代行業のビジネスチャンスは拡大しているといえるでしょう。
運転代行の仕事は運転免許さえあれば就業可能なことから、サラリーマンの副業アルバイトとしても人気のある職種です。
自営業者のように時間に融通が利く人は、2つ目の収入源として自動車運転代行業で起業することもできるでしょう。二毛作としてビジネスを持つ際も、運転代行は小回りのきくビジネスモデルとして人気のある業態です。
奥さんと2人体制の夫婦だけで開業できることも、自動車運転代行業の魅力のひとつです。
ここでは、自動車運転代行業の開業に関する一連の流れを解説していきます。
スムーズな開業に向けて、提出書類から申請までの流れを確認し、しっかりと準備していきましょう。困ったことがあれば担当者に相談すると丁寧に回答してくれますよ。
自動車運転代行業を営むことが可能かどうかを確認する
独立開業に向けて最初に確認したいのが「自動車運転代行業を営むことができない者」に該当しないかどうかの点です。
起業を目指す多くの人にとっては、特に問題となる点はないかと思いますが、例えば下記に該当する人は自動車運転代行業を経営することができないと定められています。
- 破産者で復権を得ない者
- 禁固以上の刑に処せられた者
まずは、自動車運転代行業の営業不可に該当していないかを確認しましょう。
自動車運転代行業認定申請の手続き
自動車運転代行業の開業には、主たる営業所を管轄する都道府県公安委員会の認定を受ける必要があります。
下記のような必要書類を準備した後、主たる営業所の所在地を管轄する警察署に対して認定申請を行います。
行政書士に依頼する人もいますが、開業の手続きにおいて行政書士を使う必要はありません。書類作成についても難しい内容ではないので、多くの人は問題なく自分で行うことができるでしょう。行政書士へ数万円を払うのであれば、開業準備の費用に回したほうが得策です。
それでは、認定申請の手続きをひとつずつ確認していきましょう。
自動車運転代行業認定申請に必要な書類
必要となる書類は、主たる営業所の所在地がある都道府県によって異なることがありますので、事前に確認してください。
申請を行う時点で、随伴用自動車の車検証が必要です。
随伴用自動車には顧客を乗せられませんし(白タク行為となるため)、顧客も車輌を見て運転代行業者を決めるわけではありません。
したがって、随伴用自動車は、中古車でもかまいません。詳しくは、随伴用自動車購入の解説ページをご覧ください。
個人事業主として申請する場合
個人事業主として自動車運転代行業認定を申請する場合、下記の書類を用意する必要があります。
- 認定申請書
- 戸籍の謄本又は抄本(申請者が外国人の場合は住民票の写し)
- 登記事項証明書(認定を受けようとする者を成年被後見人等とする登記記載がないもの)損害賠償措置を証する書類
- 安全運転管理者等の選任関係書類(安全運転管理者の住民票の写し・運転管理に関する経歴書・運転記録証明書)
- 随伴用自動車の登録番号等記載書類(自動車検査証の写し)
法人として申請する場合
企業の一事業として自動車運転代行業認定を申請する場合、下記の書類の用意が必要です。
個人事業主での申請書類に加えて、定款など会社関係の書類を添えて提出する形となります。
- 認定申請書
- 法人の登記事項証明書
- 定款又はこれに代わる書類
- 役員全員の戸籍の謄本又は抄本(会社役員が外国人の場合は住民票の写し)
- 役員全員の登記事項証明書(認定を受けようとする者を成年被後見人等とする登記記載がないもの)
- 損害賠償措置を証する書類
- 安全運転管理者等の選任関係書類(安全運転管理者の住民票の写し・運転管理に関する経歴書・運転記録証明書)
- 随伴用自動車の登録番号等記載書類(自動車検査証の写し)
最寄りの警察署へ申請に行く
必要な提出書類を用意したら、最寄りの警察署へ申請に行きましょう。
その際に、認定申請手数料がかかります。現金を用意しておきましょう。
申請してから認定がおりるまでの期間
警察署へ認定の申請を行った日から、運転代行の営業が行えるわけではありません。
運転代行業者としての認定がおりるまでには、約2ヶ月の期間がかかります。
認定がおりるまでの時間を使って、WEB集客の肝となるホームページの用意など営業準備を着実にしていきましょう。
その他にも、下記のような備品を購入したり、契約を交わしていきます。
- ロゴマーク
- 携帯電話・スマートフォン
- クレジットカード決済サービス
- 業務用の無線機
- 随伴車輌の印刷シート
- 随伴車輌の駐車場
損害賠償責任保険の加入
一般的に運転代行業者は、全国運転代行共済協同組合にて「受託自動車共済制度」に加入しています。これは、対人・対物・搭乗運転者傷害が含まれた損害賠償責任保険です。
なお、運転代行業者の共済保険加入は任意での加入ではなく、保険の加入を義務付けられています。忘れないようにしましょう。
フランチャイズ加盟も開業方法のひとつ
フランチャイズ(FC)といえば、多くの人が思い浮かべるのがコンビニエンスストアだと思います。セブンイレブンをはじめ、ローソンやファミリーマートなどがフランチャイズ展開をしていますね。
自動車運転代行業にもフランチャイズ展開をしているブランドがあります。
運転代行FCに加盟して開業準備などの指導を受けることで、不備のない立ち上げが可能になります。また、集客面でもサポートしてくれるでしょうから、初めての独立開業で不安を感じる人は資料などを集めてみてもいいでしょう。
自動車運転代行業のビジネスオーナーとしての心構え
自動車運転代行業の核となるサービスは、もちろん「事故なく安全に自動車を運転し、目的地へ自動車を運ぶ」ことです。
そして、運転代行という仕事は、同時に「接客業」でもあります。
サービスとして、次のような要素は欠かせません。
- お客様への心配り
- 清潔感のある服装
- 相手に失礼にならないトーク術
もちろん、自動車運転代行業者の中には、いい加減な会社やドライバーも存在しています。
だからこそ、上記のような社会人として当たり前のことを徹底するだけで、同業他社よりも一歩前に出ることができるのです。
『運転代行は接客業である』
自動車運転代行業認定を申請する前に、この点をぜひ意識しておいてください。
自動車運転代行業は警察から認定を受けて営むビジネスです。営業開始後も、気を引き締めて安全運転で、お客様のために業務に取り組むことが何よりも大切です。